幕末の探検家松浦武四郎は、1845 (弘化2)年、1849 (嘉永2)年、1856 (安政3)年、1858 (安政5)年と、4回にわたり根室海峡沿岸を訪れています。春国岱のトドワラや西別の海岸線の風景に目を奪われ、「野付半島」から根室海峡の海面に輝く月影の美しさに驚嘆し、「知床」の眺望を前に酒を酌み交わすなど、当地の自然美に心を奪われた様子を日誌にみることができます。武四郎が、万葉集にも詠われた丹後の天橋立、摂津の住之江にも勝ると触れた当地の景観は、時代を越えて人々の心を揺さぶる美しさを備えているようです。
生涯に6度の蝦夷地探検を果たした幕末の探検家松浦武四郎。根室海峡沿岸には、このうち4回、足を踏み入れています。武四郎はこの旅の中で、風蓮湖や野付半島、知床岬、納沙布岬の風景に目を驚かすとともに、ラクスマン来航やクナシリ・メナシの戦い、ゴローニン事件など、この地で起きた過去の事件についても日誌に記しました。このときの知見が、後にこの地域の開拓に活かされていくことになります。