北海道で確認されている500以上のチャシ跡のうち38%が根室・釧路地方に集中し、特に根室半島部には32ヵ所、標津町域には15か所のチャシ跡が確認されています。北海道各地のチャシ跡の多くは、河川の中流域で、川と川の合流点付近に残されるものが多いです。これは当時、川を交通路とした暮らしが主流であったため、川筋に形成された村(コタン)のそばにチャシ跡が築かれたからだと考えられています。一方、根室海峡沿岸のチャシ跡の多くは、川の河口付近で、海に面して設けられています。根室海峡沿岸では、暮らしの中で海が重視され、湊をつくりやすい河口付近に村が形成されたためと考えられています。
根室地方の中でも特にチャシ跡が数多く残された根室半島では、海底火山の噴火によってできた険しい自然地形を活かし、多くのチャシ跡が築かれました。根室市内には「ヲンネモトチャシ跡」(根室市)、「ノッカマフチャシ跡」(根室市)など32か所のチャシ跡が地表からわかる形で現存しており、このうちの24か所が一括で「根室半島チャシ跡群」として、1983(昭和58)年と1984(昭和59)年に国指定史跡に指定されています。